どうやらアンタ、助かったよ うや」 「えっ」 「中居川民江が、仏門に入った」 「仏門にか」 「今までの悪行を悔い改めるそうや」 「ほんなら 中居川からせしめた８０００万があるので、 しばらくは格安料金で請け負う

「貞さん、どうしたの。お出迎えか」 「今、事務所にえらいもんが来てる」 「えらいもん。中居川の母親が魔物でも連れ て来たか」 「何で知ってる。誰に聞いた」 「やっぱりか」 「あれは儂ら 中居川民江はクルマの中にいた。 『どうもお待たせしました。

俺は中居川の小切手を２０００万ずつ５枚に 分けさせた。 『オマエの母親が来たら、商談不成立で客 は帰ったとでも言うとけや。じゃあな』 中居川は俺を見向きもせずに後片付けに夢 中であった。 今回は婦女暴行には至らなかったのでこれ で済んだが

『もっと恐ろしいとこや』 俺は中居川の母親に電話した。 『もしもぉし、中居川さん。先ほど連絡 したものですけど。ええ、今息子さん の事務所にいます。はい、判りました。 じゃ、お待ちしてます』 中居川は真っ青だった。 『母に、言ったのかっ

犯人と母親の名前を教えて」 「犯人は中居川昇太郎、５０才。母親は民江、 ８２才。まだ健在や」 「貞さんは一緒に来てくれるの」 「いかんいかん。東院じゃとここから６キロは離 れておる。